依存症
アルコール依存症
この病気は「アルコールが必要だけど丁度よく飲めなくなっている状態」と言えます。丁度よい飲み方ができないので身体の健康を損ねたり周りの人に迷惑や心配をかけてしまいます。その為強い自己嫌悪に苦しむ方もおられますし、そんな人だから更にお酒が必要になります。アルコールは、気分を変える飲み物、人と人を繋げるコミュニケーションの道具として貴重な役割を果たしていますが、アルコール依存症になったりなりかけている人は、飲めば飲むほど気分が悪くなり、大切な人とのコミュニケーションも歪めてしまいます。ですから、この病気の治療とはアルコールが必要な身体、心、生き方を「必要としないで済むように」変えていくことなのです。大変な作業ですが治療に積極的に取り組むと充分に可能であることが沢山の患者さんで証明されています。
薬物依存症
覚せい剤や大麻といった違法薬物、病院で処方される睡眠薬や抗不安薬、薬局で売っている風邪薬などの市販薬も依存性があり、長期に大量に用いるといった誤った用い方をすれば危険な状態に陥ってしまいます。
最初はコントロールして使えているつもりだった薬物が、次第に「うまく」使えなくなってきます。精神症状が現れたり、記憶がない間に何かやらかしたり…。そうして、薬のせいで友人を失ったり、家族を失ったり、仕事を失ったり、さらには自尊心を失ったりしてゆきます。薬物依存症は、脳内で実際に変化がある「病気」であるといわれています。治療することで、クスリにハマる考え方の癖を変えていけます。
ギャンブル依存症
ギャンブル等依存症とは、「娯楽で始めたギャンブルが、既に自分に不利益、有害な結果を生じていて、やめたほうがよいと頭では理解できていても、自己制御できずにギャンブルを反復継続する状態」を言います。
ギャンブルにより高額な借金、夫婦関係、親子関係の悪化などの負の結果を招くと認識していても、ギャンブルをやめられないのです。再燃性が高く、再燃を繰り返すと、経済的・社会的(家庭問題など)問題が悪化し、心理的に追いつめられて自殺や経済犯罪に至るケースさえあります。
ギャンブルから離れ、生き方を変えながら健康に生きていくには、同じ問題を持つ仲間と定期的にグループミーティングを持ち、自分を内省する機会を長期に持ち続けることが最も大切です。
ネット・ゲーム依存症
多くの青少年にとって、スマホのオンラインゲームやインターネットは、「快楽をもたらし、楽しい」-こうした快楽や楽しい性能自体は、決して悪いことではありません。しかし注意しなければいけないことは、スマホやオンラインゲームの無限性です。やってもやっても、またやれる。かなりの長時間そして長期間、飽きずに楽しむことができて、快楽を無限に得続ける環境が簡単に手に入ってしまいます。自分の部屋のゲーム機器や常時携帯しているスマホがその入り口となり、やめるきっかけがなくなってしまい、精神状態が悪化したり、社会的影響(学業、仕事、人間関係)を及ぼすようになってしまいます。心理療法や精神療法は薬や手術よりも効果は実感しにくいのですが、長期間受けていると、少しずつ考え方が変わり、生活を変えていけることが多いです。
治療法
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依存症の治療とは?
依存症は、完治するわけではないため、生活習慣病の治療のように回復に向け継続して取り組むこと、回復に必要な場所や仲間とつながることが重要となります。回復に必要な場所には医療機関、自助グループ、中間施設などがあります。そこでは、同じ課題を抱えた、共に回復していく仲間に出会うことができます。
旭山病院では、医療機関として外来治療・入院治療を提供しています。また、自助グループや中間施設の紹介、院内自助グループの開催を行っています。 -
入院治療
心身ともに依存物質や依存行為から離れ、“しらふ”の頭で今までの人生を見つめ直し、依存症に関する知識を学んだり、同じ経験をした仲間との交流の中で自分自身を振り返ってみたり、問題解決の糸口を探しながら、元々持っていた機能を取り戻していきます。その中で、依存物質・行為が必要だった部分に気づき、退院後の地域生活を依存物質や行為がなくても過ごせるように組み立て直します。
ARPと呼ばれる(アルコール・リハビリテーション・ プログラムの略)入院治療プログラムを行います。 -
外来治療
離脱症状など重篤な症状がない場合は通院での治療を続けながら依存症からの回復を目指していきます。医師の診療に加え、依存症の方に向けた専門デイケアでは様々な治療プログラムをご用意しています。
病院内での支援に留まらず、家庭や地域で安心して日常生活を送ることができるように、必要な方には看護師などがご自宅にお伺いし、生活の不安や病気のことについての相談をお受けしたり助言などのサポートをさせて頂く、訪問看護も行っています。
入院のご案内
依存症でお困りの
ご家族へ
家族会について
ABOUT FAMILY GROUP
依存症は周りの人を巻き込んでいく病と言われます。当院では患者さんに寄り添っておられるご家族の方に向けて家族会を実施しています。医療機関や相談機関にたどり着くまで、本人だけではなくご家族も疲弊してしまい、相談できる場所に繋がった頃には息切れしてしまうことも少なくありません。家族教室では依存症の理解を深め、ご家族が抱える悩みや不安の軽減をして、改めて患者さんに関わってもらうための力を蓄えてもらう場所になることを目指しています。
開催日時:毎月第3土曜日 9:30~10:50
お問い合わせ先:医療相談室
※当院に受診歴のある患者さんのご家族が対象となります。
ご家族がつながれる
自助グループ
ABOUT SELF-HELP GROUPS
依存対象から離れることを目的に、同じような問題を抱えた方々が集まった回復のためのグループを自助グループと言います。依存症は医療の力だけでは十分な回復ができないと言われており、当院では患者さん同士の仲間の力がとても重要であると考えているため、自助グループへの参加を勧めています。なかなか最初は1人で行きにくい方が多いので、初回はスタッフが同行することも出来ます。
院内、院外で行われる自助グループには入院中から参加することができます。入院中から通うことで、他の仲間と一緒に気軽に参加することができます。また、退院後に継続して通うためのつながりを作ることもできます。自助グループは各地で活動していますので、詳しくは下のリンクをご覧ください。
「AA」
https://www.aa-hco.info/
「断酒会」
http://h-dansyurengoukai.com/
「NA」
https://najapan.org/meeting/hokkaido
「GA」
http://www.gajapan.jp/jicmp-njp.html